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10月, 2023の投稿を表示しています

木材は動くことをやめるのか

作業場で40年以上保管していたラワン材です。 年月を経た木材は狂わないと言われます。木材を安定させるために環境に馴染ませるという事も言われます。このラワン材は、たっぷり同じ環境で時を過ごしてきたと言って差し支えないでしょう。 大きさは110mmx100mm、厚みは表裏1mmずつフライスして平面を出し、約13mmになっています。 このテストピースはフライスしてから1年ほど、全面を空気に触れるようにして作業場に置いておきました。 作業場の湿度は年間通して大体40%から65%の範囲内です。日によって例外もありますが。 動かないでしょうか? ご覧の通り、反っています。 冒頭の説は真実だと思いますが、あくまでも「動きにくくなる」であって、「動かなくなる」ではないのです。 木材が動くことをやめないという事実は、築年数の経った木造住宅で、木製品が結構身近にあるような、昭和な住環境にいると日常的に経験します。 木材が動く原因には残留応力もありますが、使用する上で問題を起こしやすいのは、主に乾湿による膨張収縮の繰り返しや長期的な収縮によるものです。 木材の伸縮量は方向によって差があります。接線方向(円周方向)が最も動き、放射方向(半径方向)は控えめに動き、繊維方向(軸方向)はほとんど動かないとされています。 方向には背腹など他の要素もありますが、小さな物を作る場合はあまり考慮しなくてもよいと思います。 板目、柾目、追柾といった、丸太をどの方向に製材するかの違いで、木材の各面の伸縮量は変わってきますが、いずれにしても膨張収縮は起きます。 対策として、変形を見込んだ構造を採ったり、仕上げ塗装によるコーティングで乾湿による膨張収縮を抑制したりすることになります。 部材を組み合わせて作るものは、(形態によりますが)適切な構造を採れば反りやねじれなどはだいぶ抑え込むことができますが、膨張収縮の現象そのものは抑え込めません。なお膨張収縮を構造的に不適切な方向で阻害してしまうと、割れの発生する可能性が高くなります。 仕上げ塗装は造膜系と浸透系に大別できます。造膜系は木材表面上に形成した塗膜によって乾湿をかなり抑制することができます。浸透系は木材表層直下付近を塗料でふさぐことで乾湿をある程度抑制します。 着色しないクリア仕上げで代表的なものは、造膜系ではウレタン、ラッカー、シェラックなど、浸透系では

スポンジを切る道具

スポンジをカットしたい場合、生活に身近な道具では以下の物が適しています。 パン切り包丁…もともと刃の形状が発泡素材に適しています。刃渡りが長いので、比較的綺麗に切断しやすく、大きな塊も切り出しやすいです。 キッチン包丁(三徳包丁など)…研ぎたてならば楽にスポンジを切れます。大きな塊を切るには長さが少々不足気味です。研ぎやすさが最大のメリットだと思います。 カッターナイフ…通常の刃は最初から結構ナマクラなのであまり適していません。黒刃は切れます。ただし、刃が鈍るのが早く、長さも足りない事が多いです。黒刃は薄いものを切断する分には良い感じです。 どれを使っても少し正確さに欠けますが、実用に充分な程度には問題なくカットできます。 パン切り包丁が特に使いやすいと思います。

10時9分

当ショップの掛け時計の写真を見て時計針の向きにちょっと違和感を感じた方もいるかもしれません。 多くの場合、市販のアナログ時計の商品画像で時計針が指す時刻は10時9分前後(あるいは1時51分前後)で、秒針は下方に向けてあります。これは、12時方向に配置される事の多いロゴマークに時計針が被らず、かつ、バランスもよい向きだとされています。商品撮影のプロに依頼した場合、特に指定しなければ多分そのような向きになるだろうと思います。 私の作っている掛け時計にも小さな刻印マークはあります。もともとは付けずに済めばそのほうが良いと考えていたのですが、実用上、全く無しというわけにもいかないので、正時には隠れる控えめなマークを付けています。 また、私の作っている掛け時計は、全て12個の目盛りが付けてありますが、一瞬、それと気づかないかもしれない形の物もあります。いわば遊び心で意図的にそのようにしてありますが、ずっと気づいてもらえなくても困ります。 そんなわけで、撮影しながら試行錯誤の結果、時計針の向きを今のように決めました。 この場合、時計針がほぼ正時を指し、目盛りの存在がわかりやすい向きにしたほうが良いと思いました。 バランスも考えると5時か7時が良く、個人的には5時のほうがなんとなくしっくりきたので5時で揃えることにしました。長針が正時から大きく動かない範囲で、秒針を見えるように少し動かしました。 一部、正時を指した状態では形状が伝わりにくいと思ったものについては少し時刻をずらしてあります。